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May 17, 2004

東京B級グルメガイド#36「みかわ」

みかわ(本店) 中央区日本橋茅場町3-4-7 3664-9843 
「みかわ」の評価は難しい。もちろん、ランチだけを食べにいくなら、最高の店のひとつだろう。本店ではなんと1200円で一通り、味わうことができる。しかし、六本木ヒルズ店は5000円近くする。うーん、前は文句なく最高だったのに。でも、まあ、それはおいておいて。

 これはアタシの持論なのだが、てんぷらは科学だと思う。タネに合わせた衣の付け方、微妙な温度調整など、てんぷら萌えの店主は独自の理論を元に実験を積み重ねていき、一般店とはかけ離れた高みに登っていくものなのだ。

 てんぷらほど、名店とフツーの店に違いがでる食べ物も少ないんじゃないか。有名な銀座の「てんぷら近藤」の店主などは、山の上ホテルの修行時代から、揚げて揚げて揚げまくっていたという。そんなてんぷら専門店の最高峰のひとつが「みかわ」なのだが、昼はなんと1200円から世界最高のワザを堪能できる。夜はそれなりの覚悟をしなければならないが(刺し身の魚までいいものを使っているし)、昼はこの値段なら誰でも行けると思うから、こうやって紹介もできる。

 店は地下鉄の茅場町駅から歩いて3分ぐらいの場所(東京駅からも八重洲口からなら15分ぐらいで歩ける)。春には桜並木がきれいな商店街から道を一本折れると、いきなり池波正太郎的な世界を感じさせる路地があらわれるのだが、そこの奥まったところに「みかわ」はある。もう、この路地を覗いた瞬間から「みかわ」体験は始まっているわけだが、昔ながらのたたずまいの店は、時々、二階にフトンが干してあったりもするのが妙に生活感あふれすぎでいかがなものか。

 8席のカウンターに座り、1200円の定食を頼むと、最初に出てくるのは海老。そうてんぷらのコースはだいたい海老から始まるが、「みかわ」はこの海老からいかなり勝負をかけてくる。なんとも芯がレアな海老は、サクッと噛むたびに、舌にねっとりとした甘みがひろがっていく感じ。しかも、油の切れがいい。多くの客は、ここでいきなり魂を抜かれてしまう。ひどい時には、もう精神は「みかわ」の奴隷状態になる。息子さんが次々と揚げてくれるタネを、エサを待ち望む飼い犬のような顔になって「いまか」「いまか」と無意味にハシを動かしたりして。
mikawa_tempura_1200.JPG

 しかし、我々は人間である。次に出てくるキスありで一息ついて、二本目の海老が出てくる頃には、「二本目は塩で喰ってみよう」とか、素早く冷静さを取り戻すかもしれない。そしてメゴチあたりが出て、「こんなもんかな」と慣れてきたかと思う頃、最終兵器「アナゴ」が投入される。

 「みかわ」はアナゴを油に投入する直前、皮についた衣を鉢のヘリで落とすようにする。この衣の「背切り」(勝手に命名)を加えることによって、皮のある背と腹のどちらもがカリッと楊がるんですな。サクッと口に含めば、なんとふくよかな味わいの身!ほのかに胡麻油の香りも伝わってくる。

 この段階で、もはや、客は「みかわ」の完全なる奴隷となる。しかし、現実は厳しい。1200円では、あとナスとピーマンぐらいしか、奴隷としてカウンターに座り、てんぷらのゴチにあずかることは許されないのだ。「これで揚がりました」という宣言とともに、野菜をいただき、フト我に返りながらゴハンと漬物などで腹ごしらえをし、最後に味噌汁を飲むと「また来よう(たまには頑張って夜とかも)」という気になって、トボトぼと店を出ることになる。

 ちなみに、「みかわ」の味噌汁は、ランチで食べられる味噌汁の最高峰だと思う。ほどよい大きさのシジミと、さわやかなミツバの味噌汁はやや味が濃い。しかし、その濃さが、旨すぎとはいいつつも、やや油に疲れた舌をシャキッとさせてくれる。使用している器はすべて作家もの。タレの入った土瓶寸前の大きな陶器がほしい。

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