« 『KILL BILL』と『現金に手を出すな』に触発されて… | Main | 『ナイン・インタビューズ』柴田元幸 »

May 10, 2004

東京B級グルメガイド#30「東京麺通団」

「讃岐うどん大使 東京麺通団」 新宿区西新宿7-9-15ダイカンプラザビジネス清田ビル1F 5389-1077

讃岐うどんの聖典『恐るべき讃岐うどん』の著者である田尾和俊麺通団団長がプロデュースした店が昨年9月下旬、新宿にオープンした。メールで教えてくれた方もいたので、「イカねばならぬタコねばならぬ」(by田尾団長)ということで素早くチェックしに行ったのが、つい昨日のことのように思える。最初の頃はまだ、オペレーションがうまくいっておらず、やや待たされたり、無謀な24時間営業によって、麺を打つ兄ちゃんたちも疲れ気味だったが、今ではすっかり落ち着き、「生活のうどん屋」として新宿に根付いている。

この店、玉を「宮武」から空輸して運び、店で3人の職人によって伸ばされる、というシステムをとっている。「宮武」は昨年、巡礼に赴いたS級店の中でもダントツの旨さだと思い、以来、さぬきうどんのリファレンスとして心に刻んでいる。さて、そうやって打たれて機械で切られる麺は標準的な太さ。さすがに東京の普通の店と比べると、固くなく、弾力に富んで伸びるという感じの讃岐風。そう、讃岐でコシというのは長く伸びても切れないということであって、固さを意味するものではないのだ。このことを理解するまでに、ぼくも大分、いろんな店に通わなければならなかった。

つい最近まで、オーダーのかなりの部分は「かま玉」だった。「かま玉」は釜揚げされた麺に卵とダシを入れてガーッとかきまわしてカルボナーラ状態にする。しかも、ここは半セルフなので、店員が卵を少しかき混ぜてダシを入れるというところまでやっているので店としては手間がかかる。そして、あまり茹ですぎないように、釜玉に使う麺は大釜の中に網を3つぐらい入れて、時間差であげていくシステムをとっている。そうなるとどうなのか。網に入っているから、麺が自由に踊れない。しかも、角が網でとれていまう。つまり鋭角なエッジが立たないということになる。よって、最近では「かま玉」のオーダーが減ってきたようだ。やっぱり、讃岐うどんは、大釜にジャンジャンぶち込んで、バンバン釜あげして、ドンドンまとめてしまうから、角々もタチタチになるのかもしれない。
mentsudan.JPG

さて、田尾団長は「小ネタ」担当というが、入り口に置かれているネギについて「お願い 香川産の正しいネギですが、これは切ってうどんに入れないで下さい。(笑)」といきなりかましてくれる。メニューの商品説明も田尾調。また、地元紙に連載している香川県の不思議な風景を訪ね歩くという連載も読めるようになっている。

冷たいうどんはしなやかに伸びる感じがいい。そして「あつあつ」のイリコだしが効いている。しかし、今の時期、絶対にお勧めしたいのは「ひやあつ」。店のメニューにはないが、冷たいうどんを頼んで「あ、ひやあつにするから」といって醤油その他をかけないでもらい、料金を支払うカウンターの横にある、熱いダシをいれる蛇口から自分で入れると「ひやあつ」の出来上がり。カレーでいえば「中辛」の幸せ感というのだろうか、なんともぬるいけど幸福という感じがする(写真もひやあつ)。日本人からこの手の幸せ感を奪うと立つ瀬がなくなると思う。二日酔いの後なんかには特に優しい。

天ぷらは「三大天ぷら」と銘うっているゲソ、カキアゲ、カシワあたりがお勧め。四国巡礼の後、赤坂「ふるさと」のゲソがいかに小さいかわかりビックリしたが、ここのは大きい(やや固いが)。東京で始めたという半熟卵のてんぷらもいい。期待以上というか、ここ数年ぐらいで、半熟卵というか温泉卵ほどステイタスをあげた食材はないんじゃないだろうか。

夜は飲める店となる。当然、おでんもたかれている。もちろん悦凱陣(よろこびがいじん)もある。学生時代、こんな店があったら毎日行ってたろうなと思うが、やや酒類の値段が高いのは致し方ないところか。

聖典は手に入れても、巡礼すべき聖地は遠く、東京砂漠にポツンポツンと飛び地のように点在する本格うどん店をさ迷っていたのがもう遠い昔のようだ。

|

« 『KILL BILL』と『現金に手を出すな』に触発されて… | Main | 『ナイン・インタビューズ』柴田元幸 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/569277

Listed below are links to weblogs that reference 東京B級グルメガイド#30「東京麺通団」:

« 『KILL BILL』と『現金に手を出すな』に触発されて… | Main | 『ナイン・インタビューズ』柴田元幸 »