« 『徴候・記憶・外傷』 | Main | この時期の月 »

April 08, 2004

東京B級グルメガイド#4「ミスターガーリック」

ミスターガーリック 港区麻布十番1-8-5-B1F 3583-6769
麻布十番というか新一の橋交差点からから一本横道にそれた、うら寂しい通りの地下一階にある店。入り口を入ると、店内は暗く、12名で満席という狭さ。しかもタイングが悪いと、いささか愛想の悪い親父が一人でスポーツ新聞なんかを読んでいるだけという場面にでくわす洋食店。席につくと、スポ新オヤジはかったるそうに水をとりに厨房に入り、「何にすんの?」とぶっきらぼうに聞いてくる。

お世辞にも良いとは言えないっつうか、ハッキリいってすごい接客態度。しかしこれだけ自信過剰な様子なら、出される料理にも期待が持てるんじゃないかと、お冷を飲むと、これが旨い!。味にうるさそうなオヤジだけに、水もおおいしくしないと気がすまないのだろう。

最初にここで喰ったのはハンバーグ。一言でいって、非常にバランスがとれている。ハンバーグの大きさ、ソースの量、2種類のサラダ(コールスローとマカロニのマヨネーズのサラダ)。また、乗せ物の目玉焼きもいい。目玉焼きの白身の部分のやわらかさ、黄身の半熟加減はなかなかのもの。そして、粒が立ったご飯、ふっくらとした揚げの味噌汁と、どれも手を抜いていない。お新香のきり方、盛り方も素晴らしいし、味も悪くない。とにかく、全体に一本スジが通りまくっている。

店の雰囲気っつうかオヤジの雰囲気は、ハッキリいってすごく客を選ぶ。しかも、夜のメニューはメンチカツもハンバーグも2500円とか2800円なんだから。でも、麻布十番では、もしかして、いまや洋食No.1かも。

mrgerlic.jpg

オヤジの風情は古いTV版仮面ライダーかなんかに出てくる喫茶店のマスターに似ている。しかし、態度は常連さんだけ来てくれればいいよってな感じ。しかも異常な話好き。客の食事の邪魔をしてまで話を続ける困ったちゃんタイプときてる。

「うちに来るのは、初めて?」
「ええ(モグモグ)」
「お昼のハンバーグは、普通のハンバーグなんだよ。雑誌なんかに出てるヤツじゃない。まあ、夜のは2500円でも安すぎるんだよな。4000円くらいにしないと商売なんねぇ」
「はあ(モグモグ)」
「うちのハンバーグは、ひき肉じゃなくて、肉を細かくスライスして作るからね。手間がかかりすぎるんで、昼には出せないのよ。だから昼はコロッケにしてんのよ」
「こ、こんどはビーフコロッケにします(だから、このハンバーグをゆっくり喰わせてくださいぃ)」
なんて感じ。

なんでも、たいめいけんの心護シェフの元で修行したとか。そんな話を振ると、また話が止まらなくなる。
「日本人の7割8割は味なんかわかりゃしねぇよ。今のたいめいけんに人が入ってるなんざ信じられネェ」
「昔とは違いますか(モグモグ)」
「いまなんざ、あの店にまともなコックはいやしぇよ。昔からのは6人ぐらいで、そのうち4人は出戻りだ。喰ってみて、そう思わねぇか?」
「ちょ、ちょっちゅねぇ」
と最後は具志堅状態になって許しを乞わなければならない。

ちなみに、ガーリック料理は「んなもん、ねぇよ」。

心護シェフが『洋食や』(中公文庫、名著!)で描いた、昔かたぎのやさぐれコック健在って感じ。

その後何回となく夜にも出かけたが、高いハンバーグはもとより、絶品だったのがエスカルゴ。高温の溶かしバターにそのまま入っているエスカルゴなんてみたことない。で、ゴミゴミした部分をパンかなんかですくって喰えば即昇天。オヤジと仲良くなれば、ウイスキーなんかトリプルぐらい入れてくれる。「すんまませんねぇ」とお礼をいうと、「常連が置いてった酒だ。タダからよ」と妙にやさしかったりする。

とにかく旨い店。夜は予約していくべし。

|

« 『徴候・記憶・外傷』 | Main | この時期の月 »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/23829/412172

Listed below are links to weblogs that reference 東京B級グルメガイド#4「ミスターガーリック」:

« 『徴候・記憶・外傷』 | Main | この時期の月 »