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April 06, 2004

『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』

『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』蓮實重彦、青土社
 前から、ちょこちょこ文芸誌やスポーツ雑誌などに書き散らしていた(失礼!)文章をまとめて、書き下ろしの序文をくっつけて一丁あがり、という感じはいなめない。
 
 しかも、オマーン戦直後に書き下ろした序文では、あせっていたのだろうか、それとも、青土社にサッカーに詳しい人間がいないからなのだろうか、シドニーでPKを外した中田英が「外したことによって、彼の中に潜在的なものが顕在化するきっかけを掴むのです。その後のペルージャでの活躍がそれを物語っています」(p.21)というかなり致命的なミスを犯している。所属していたのは当然ローマだし、しかもシドニーの後、中田は干されていたので活躍は年明けのシーズンも押し詰まったほぼ1年後を待たなければならない。
sports_hashumi.jpg

 でも、まあ、そうしたケアレスミスは誰でもあるとして、蓮実先生が宣言している運動に対する感受性の復権に関しても「とりわけ日本のジャーナリストたちは、無意識のうちに『運動』が嫌いな人類の代表として振舞ってしまう」(p.11)「文化の大量消費時代では『運動』は運動としては流通しなくなっているからです。運動の結果としての数字ばかのが流通するのです」(p.38)「『知性』と『想像力』とが一つになつたとき-ごく稀なできごしとなのですが-そこには動くことの『美しさ』が顕現します」(p.13)と勇ましいことは勇ましいが、具体的な提案はなさそうだ。

 だいたいマニフェストは所詮マニフェストであって、現実にどうするのかという問題に関しては、常に痩せた解答した提示できない。オマーン戦後、蓮実先生は、もし自分がインタビュアーだったら「なぜあなたがPKのボールを蹴らなかったとやや曖昧な言葉を口にしたでしょう」としている。中田がPKを蹴らないのは、単純にヘタだからであり、昔は外したことないとか豪語していた割には、2000年以降は、決してPKを蹴らなくなったしまったという事実すら無視しているのは、もしかしたら何かがあるのかもしれないと逆に不安にもなってくる。

 さすがと思わせるいいまわしや、エスプリは感じられるものの蓮実先生のスポーツジャーナリズムへの参戦は、サッカーでいえば、3-0か4-0の負けといっても過言ではないと思う。

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Comments

書店で蓮見重彦「先生」の「スポーツ批評宣言」を立ち読みして、なんか腹立ちました。
文章は確かに「美しい」しうまいのはわかりますが、文化人がまた偉そうに、って感じでした。
蓮見や渡部が言ってることには確かに一理ある。でも僕としては、じゃああんたらがやったら、といいたくなります。こういうことをいうと彼らに無教養とか知性がないと言われそうですが。
中村俊輔ににしても、あいつはうまいだけ、見たいな事をいってますが、そういう「うまさ」を磨くのがどれだけ大変か、この人たちにはわからないだろうな、と思いました。
勿論、努力を評価しろ、などとは僕も言いません。
でも、彼らの特徴は、技術や経験を低く見ていることだと思いました。
才能、とか神との対話とか、確かにそれもありましょうが、そんなかっこよくいくかって、感じです。

Posted by: 佐々木 正雄 | June 02, 2004 at 01:47 PM

蓮見センセイもそうですが、それよりセンセイ方をボケ老人みたいに仕立てたのは編集の責任も大きいと思います。専門分野以外での発言っていうのは慎重にしないとね、と他山の石みたいに読みました。

Posted by: pata | June 16, 2004 at 12:56 PM

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