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April 01, 2004

『ソクラテス以前以後』

『ソクラテス以前以後』コーンフォード、岩波文庫青683-1

 昨日の代表戦を観ていたら、悪酔いしてしまいまして、網野先生について書けませんでした。ということですが、枕元においてある一冊を抜いて、そのまま寝てしまったのですが、その本が『ソクラテス以前以後』。

 たった410円で、西洋古典学、ギリシャ思想史をわかりやすく、しかも読みやすく解説してくれる。ソクラテスに関して、1932年にケンブリッジ大学公開講座で4時間の講義を行った名講義が元になっている。ま、この手の本はいろいろあるけど、素晴らしいもののひとつだと思う。だいたい、手に入りやすいし。

 ざっと内容を書くと、イオニアの自然哲学者たちは万物の始まりとは何かを考え、それによる世界秩序を説明した、と。しかしソクラテスは見事な仮説である原子論まで昇華した自然哲学を意味のない説明だとする。魂も原子から成るものだという考えに対して、「汝自身を知れ」という「希求切望の原理」への方向転換が、いわゆるソクラテスの哲学革命だ、と。そしてプラトンを経て、アリストテレスによる純粋な形相という神概念となった、と。
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 しかし、アリストテレスの神概念において、理性的、理知的に定義された「神概念」はもはや「神」ではなく、宗教(キリスト教)における「希求切望の道徳」は、いきいきとした感情、即ち「愛」に基づいており、「愛」こそは決して理知化されることはないのだ、と。「ギリシャ人は頭脳が要求するところを主張し、キリスト教は心が要求するところを主張した」というあたりは、なにをかいわんやという感じもするが、概観というのは、以下のようなパワーも持つということで。

「世界精神が百年も千年もかかってなしとげたことを、わたしたちはずっと短時間に追いかけていくことができますが、それは、思想の展開が過去に属するものであり、できごととしては抽象的になっている、という利点をわたしたちがもつからです」(『哲学史講義 中巻』ヘーゲル、長谷川宏訳、p.409)。
 
中沢新一さん流にいわせると、旧石器時代の野生の思考が感じられて、『ソクラテス以前哲学者断片集』岩波書店なんか読むと、かえって「面白いな」という部分もあるんだけど。

 この『ソクラテス以前哲学者断片集』は、いわゆるディールス/クランツ版の翻訳で、第一回配本だけで5冊ぐらいあんだけど、ちくま学芸文庫からコンパクト(とはいっても、上下で1000頁超)にまとめられたのが出ているから、そちらでも。

 そうだ、今年は、ギリシア語忘れないように、ディールス/クランツ版でも読むか…。

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