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April 17, 2004

東京B級グルメガイド#13「室町砂場」

室町砂場 中央区日本橋室町4-1-13 3241-4038
店に流れる独特の時間を味わえるという点で、蕎麦屋では室町砂場が一番好きかもしれない。

けっこう大きなビルっぽい建物なのだが、ここが入り口?と悩むような小さな玄関をガラッと空けると京都の旅館のような、家と家との間の狭い空間に精緻に構成された庭が迎えてくれる。その庭を左手に見ながら扉をあけると、「いらっしゃい~」という声。その声は某神田薮ほど、わざとらしくないというか、つつましやかに伝統を守ってます、という感じがして好き。「あたしたちゃ伝統を護っているんだからね。わかった!」みたいなお仕着せがましさを感じることはなく、程よい感じ。別にこっちは女将や店員さんたちの「謡い」を聞きに来ているわけじゃないんだし。

席は庭が眺められるポジションがベスト。落ちつく。手入れされている北向きの庭ってのはなかなかいいもんだ。
miromachi_sunaba_garden.jpg

 蕎麦は量が論外の少なさだけど、ちゃんと大盛りをやってくれるので許す。もり蕎麦は550円で大盛りは900円、ざる蕎麦は650円で大盛りは1150円。東京では蕎麦はたぐるものだから軽くもらなければならないのはわかる。しかし、いくら伝統を墨守するからといって明治時代の身長150cm、体重45kgぐらいの人が食べた量をいまでも守って「ウチは専門店ですから少ないんですよ、オホホホ」と威張られたのてばたまらない。

 吉田健一さんは「東京の料理の真髄は親切にある」とかどっかで書いてて、その代表例としてこの室町砂場をあげていますが、確かに卵焼きや鳥ワサ、茶碗蒸しなんかを喰っても、その「感じ」はわかる。だから藪御三家とは違い大盛りをやってくれるんだと思う。「老舗だから大盛りはやらない」というのは見識ではなくて、その店の「親切」さが足りないのだと思う。

 まあ、それは置いといて、ここではざる(650円)ともり(550円)で蕎麦の種類が違う。ざるは蕎麦の実の芯の部分を使い、卵をつなぎに使っている白い蕎麦。ありていにいえば更科蕎麦。確かめようはないのだが、大阪発祥の砂場から薮、更級が分かれたという説が有力らしい。ということで、ここでざる(650円)ともり(550円)を食べれば、東京の蕎麦のルーツを1ヵ所で味わえるといえなくもない。

 つゆは辛い。でも、それはしょうがない。田舎蕎麦ではないのだから。辛いからといって毛嫌いする人がいるとしたら、それは薄味コンプレックス。十分おいしいつゆだ。蕎麦湯でしっかりいただきたい。酒もいまどき菊正宗だけというのもポリシーを感じる。
miromachi_sunaba_soba.jpg

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