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March 23, 2004

『アメリカの大学院で成功する方法』

『アメリカの大学院で成功する方法―留学準備から就職まで』吉原真里、中公新書

かなり年上の友だちといったら叱られるような方から「いよいよ、役員を卒業させてもらい、顧問か相談役に退いて、大学院にいって好きな文学を研究することになった」というメールをもらった。日本の大学の学部教育はどうしようもないと思うけど、ようやく大学院はいろんなことを試みはじめているようだ。いいことだと思う。好きなことを勉強するなんていうのは、最高の暇つぶしだし。本当は博士課程まで行ってプロの研究者になるか、あるいは教育者となるのが理想なんだけど、それはやっぱり大学出てすぐぐらいの子たちにまかせた方がいいし。

というわけで、大学院などに入りなおして研究生活に戻ることや、博士課程への再チャレンジを密かに狙っているような人お奨めなのがこの本。

america_study.jpg

東大を出た後、アイビーリーグのブラウン大学の大学院で博士号を取得、ハワイ大学に職を得て、テニュア(tenure、終身在職権)までかちとった帰国子女である筆者が書いた、アメリカの大学院で生き残る方法。海外での博士課程取得の苦労本なんかでは『ウィーン愛憎』中島義道なんかがすぐ浮かぶけど、こっちはカラッとしたハウツー本みたいな感じ。

とにかく、あっけらかんとしている。英語を母国語とせず、甘ったれた日本の大学の学部教育しか受けてこなかった日本人留学生が、勉強漬けの米国流「死の大学院生活」をいかにサバイバルするかを懇切丁寧に、時系列を追って解説している。博士課程修了を最初から目標にしていた方が、修士課程からのステップアップより大学から得られる援助が大きいとか、ABD(博士論文を残すだけとなった状態)までの勉強方法と、博士論文の実際の書き方(指導教授とのネゴの仕方なども含む)、論文にメドが立ってからの就職活動のやり方、大学に籍を得てからのテニュアのとり方まで、実にアメリカンに書かれていて圧倒される。

毎日、1冊の学術書を読みこなすコース・ワーク(修士課程)の激しさは凄いなぁ、と思う。ぼくの受けた限りでは、「週1冊ペースでの輪番レポート」というのが某国立大学で一番厳しかった教官だった。こんな教官だらけだったら、すごいとは思ったけど、逆に修了させてもらえたかどうかわからない。しかし、米国流ではそれが当たり前。しかも留学先では噛み砕かなくてはいけないのが外国語ときている。知っているJR関係者でMBAを取った人には「試験の会場に英語の辞書を持ち込んだ」というツワモノもいたけど、今ではいくらなんでも難しいでしょう。

とにかく、原語で素早く読んでいくためのアドバイスは参考になったし(書評を読めというなんとも実際的な対処方法!)、第5章の研究論文の書き方は特に懇切丁寧。指導教授陣を選ぶ際には、執筆期間が数年に及ぶ博士論文を書かなければならないので、執筆を励ましてくれるような「モラル・サポートを充分に提供してくれる教授を一人は入れておきたい」(p.111)というあたりは女性ならではのきめ細かな指摘だと思う。

けっこう励まされるかも。

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