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March 20, 2004

『統合失調症―精神分裂病を解く』

『統合失調症―精神分裂病を解く』森山公夫、ちくま新書

 それにしても、精神分析の人たちは、言葉の言い換えが好きだ。アル中がダメで、アル症になって、それもなんだからアルコーリックとか。精神分裂病も、言語の音読みのスキゾフレニーは残しつつ統合失調症になったとか。国鉄がJRに変わったときのE電と同じような運命をたどるに違いない。こうした言葉遊びのようなことばかりやっているというのは、精神分析が本当に学問として成立しうるのか、という内なる不安を常に抱えているということのあらわれなんだろうと思う(ついでにいえば、理論経済学というのも相当あやしくなってきている)。

 なんてことはおいておくとして、この本は森山先生が自身の精神分裂病理解をわかりやすく説明した本だ。そして、残念ながらというか、元々ムリなのかもしれないけど、途中で紹介されている学説史との関連がハッキリしないので(もちろんぼくが素人だから肝心なところを読み落としているのかもしれないけど)、様々な症例から類推される要因をブリコラージュして分裂病が迫害妄想からの発展形であると力技で論証しているようにしか感じられない。
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 森山先生によると「迫害妄想は、妄想だけの段階にはじまり、それに幻聴が加わり、さらに『つつぬけ・させられ体験』へと変形していつて、ついには夢幻体験へつながるという発展過程を示します」(p.26)ということで、論証もこそれに沿って、途中で学説史にチラッと触れるという構成になっている。

 最初に強調されるのが自明性の喪失・ゆらぎ。「これこそが精神分裂病・統合失調症の基礎症状だと考えた」(p.31)とのこと。そして生活のリズムが失われ、被害妄想が芽生え、なぜか同時に「自分は特別だ」という支配妄想的な感じを持つようになり、幻聴も聞こえてくる、というような進展をする、と。日本社会の場合は羞恥心から対人恐怖症になり、「行く先々でジロジロみられる」などの被害妄想が大きくなり、やがて…というルートも加わる、と。

 そして森山先生がいいたいのは「迫害妄想はあくまでも人間的な病として了解され」るのだから「身の失調として『治りうる』もの」だという主張につながっていきます(p.220)。

 ということで、吉本隆明さんが森山先生と対談した『異形の心的現象―統合失調症と文学の表現世界』のなかで、森山理論を読んで「やったな」(p.75)と思ったと言っているんですが、なんつうか、対談にしても、この本にしても、ちっとも「やったな」感が伝わらないというのが素人読みの正直なところかな。

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