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March 17, 2004

『キャパ その青春』

考えてみれば、1980年代後半からネットで生活してきて、やってきたことの大半は、本を読んでの感想を書くみたいなことばかりだった。あまり自分のサイトみたいなのは持ちたくなかったので、草の根BBS、ニフティのフォーラム、掲示板、Amazonのレビューなんかに書き散らしてきたけど、もう15~16年ID持っているNiftyで安いサービスあるなら、初めてみようかな、みたいなことを突如思いつき、やり始めます。

ということで、一番初めは、昨日買って読んだ本から。

『キャパ その青春』リチャード・ウィラーン (著), 沢木 耕太郎 (翻訳)、文春文庫

もう15年以上も前に出された単行本の文庫化ですが、沢木さんらしく、大幅に「原注、訳注、雑記」を増やしていて、彼のファンならば、それを読むだけでも買いなおす価値はあると思います。この部分が膨らんだことから、元は2分冊で出されていたものが3分冊となっているのは仕方ない。ぼくも2冊ほど翻訳をしたことあるんですが、一番楽しいのって訳注なんですよね。それなりに勉強したこととかご披露したいし。で、沢木さんの場合、プロの翻訳家ではないので、いろんな人に聞きまくったこととか正直に書いても全然OKな立場なので、まるで取材ノートをみせてくれるようなワクワク感が「原注、訳注、雑記」にはあります。ちなみに本文270頁のうち、この部分はpp.208-270を占めています)。
capa_s.jpg


羊膜をつけて生まれた子供は幸運に包まれて生きていけるという伝説がヨーロッパには根強く残っているというのは『精霊の王』中沢新一、講談社、2003で知ったが、地雷を踏んでサヨウナラとなったキャパもそうだったとは意外だと思った。もっとも、彼の場合、フォトジヤーナリストとして世界的な名声を得て、数々の戦闘を生き残り、イングリッド・バーグマンとも深い仲になれたという密度を考えれば、十分、幸運だったのかもしれない。

3分冊目のハイライトはキャパが撮った写真の中でおそらく一番有名な「崩れ落ちる兵士」の真贋論争。コンタクトプリントをみても、明らかにヤラセだと思うけど、沢木さんが触れているように作者は取材した弟さんに遠慮してハッキリとはそこらへんのことを書かなかったのだろうか、と思った。そして、沢木さんの
......Quote......
しかし、これらの写真が「演じられた」ものであっても少しも構わないと思う。キャパは結局、それ以後ウの道程で、「崩れ落ちる兵士」を撮った「あのキャパ」に追いつくため、悪戦を続けていくことになるからだ。
(pp.269-270)
......End of Quote......

というのは見事なまとめだと思う。

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